スリランカ視察レポート② ~スリランカの日本語学校視察と富士市で働くスリランカ人の家庭訪問をしてきました~

大道桂三です。
第1弾の【現在のスリランカの様子】に続き、今回はスリランカの日本語学校の様子と、私達が生活をサポートさせて頂いているスリランカ人の家庭訪問についてのレポートを投稿いたします。

1.スリランカの日本語学校視察

日本語学校に通う目的

スリランカは現地のガイドさんの話しによると、新卒月収が50,000~70,000ルピー程度(日本円で25,000~35,000円)とのことでした。
スリランカ人の若者はより高い賃金を求め、海外での労働を希望する人が増加しているそうです。

外国人が日本に来るためには、在留資格が必要となります。
日本での労働を希望するスリランカ人の若者が、取得することが多い在留資格は「技能実習」と「特定技能」になります。
彼等は在留資格の取得を目指して日本語学校に入学し、以下の手順で教育を受けるそうです。

①日本語学校への応募

入学説明会を受けて、申込を行います。合格をすると日本語学校に入学することができます。

②授業の開始

まず、あいさつや自己紹介、自分の名前をカタカナで書いたりと、簡単な日本語の勉強からスタートします。
数カ月後には指示を聞いて動いたり、簡単な会話ができるようになることを目標にしています。
来日後、技能実習生が受ける随時試験にも対応できるように、簡単な文字の読み書きもできるように練習します。

③日本企業との面接

日本の企業との採用面接を実施します。
面接は現地面接・オンライン面接がありますが、現在はオンライン面接で行うことが多いです。

④入国前講習

内定をもらった学生は、より実践的な内容を学ぶ入国前講習を受講します。
業務に応じて使用する専門的な言葉も勉強し、入国を迎えます。

日本語学校のご紹介

SISTERインターナショナル

SISTERインターナショナル様(以下「SISTER様」とします)は富士市で働くスリランカ人の皆さんの出身校でもあります。

SISTER様は学生の成長に合わせた日本語教育を実践されているのが大きな特徴です。
現地で視察した際は、学生が安心して授業を受けている様子が印象的でした。

またSISTER様の学校はコロンボ市内の街中にあるため、電車・バスで通学できることも特徴の1つで、実際に電車・バスで通学する学生が多く居ました。 入国前の学生の授業を拝見させていただきましたが、私達が入室したら日本語での挨拶でお出迎えいただき、流暢な日本語に驚きました。授業では、日本語を話せるようになるだけでなく、日本で実際に生活や仕事をする上で使用する日本語について勉強をしていました。

SISTER様は、日本に送り出した後のアフターサービスも大切にされており、実際に富士市で働くスリランカ人の皆さんと日本入国時の空港での立ち合い、富士市で生活後も定期的な直接の訪問など、直接本人達と会い、対話をすることを大事にされていることが最大の特徴だと思います。

出張期間中は、SISTER様には学校視察をはじめ、家庭訪問にもスタッフの皆様が一緒に帯同いただき、大変お世話になりました。
SISTER様のご協力がなければ、今回の出張は実施できませんでした。ご協力いただけましたことに心より感謝いたします。

光日本語インターナショナル

光日本語インターナショナル様(以下「光様」とします)は、バンダラナイケ国際空港近くのニゴンボという街に学校があります。

光様の学生は、「技能実習」が6割、「特定技能」が4割の割合で在留資格取得を目指しています。
光様は2021年に技能実習生の送り出し機関としてスリランカ政府の認定を受け、これまでに技能実習・特定技能合わせて100名以上の方を日本に送り出されました。

光様の特徴として、1つ目は学生の多くが寮生活を行っていること。
日本語教育だけでなく生活面も指導され、また知らない学生同士が生活を行うことによりストレスはあるそうですが、厳しい環境でも日本に行くために頑張るという意欲を持ち続けることで、日本で入国した後も辛いことがあっても、入国前の厳しい環境での生活での経験が活かされ、粘り強く頑張る学生が多いとのことでした。

2つ目は講師の先生方が日本で仕事や生活をした経験のあるスリランカ人・日本人であること。
日本で働き、生活をする上で人とのコミュニケーションは欠かせません。
光日本語インターナショナル様では、実際に日本で仕事や生活をした経験のある方が、日本語教育カリキュラムだけでなく、講師の先生方ご自身の日本での実体験を踏まえた、日本独特なコミュニケーションの取り方、日本のマナーなども学生に指導されている点は特徴であると感じました。

学校視察の際は、初対面にもかかわらず、校門前で校長先生をはじめ、多くの学生の皆様にお出迎えいただき、日本ではあまり経験したことのない丁寧なおもてなしに、とても心が温かい気持ちになりました。
学校視察にご対応いただき、光様に心より感謝いたします。

3.富士市で働くスリランカ人の家庭訪問

スプンさん

仕事を休まず一生懸命頑張り、毎週の巡回の際はスリランカのことを沢山教えてくれる、心優しいスプンさん。
家庭訪問の際には、ご両親、弟さま、ご近所の方達が迎えてくれました。

スプンさんのご自宅は、コロンボ中心部から車で2時間ほど移動した場所にありました。家の周りは自然が豊かで生活をするには、静かで過ごしやすい地域だと感じました。

お父さまは元スリランカの軍隊員で、初対面のご挨拶では少し怖い見た目もあり、とても緊張しましたが、お話をさせていただくと笑顔が素敵で優しく、かっこいいお父さまでした。
お父さまが軍隊員を引退後、スプンさんが日本で働き、給与を家族に仕送りしていることにとても感謝していると、息子のスプンさんのことをリスペクトされているのが印象的でした。

お母さまは、とても明るく優しい方でした。私達がスプンさんのことを話すと笑顔になり、スプンの幼少時代の写真や学生時代のお話など沢山お話をしてくださりました。
スプンさんは他の同級生に比べて運動神経が良く、学生時代はスポーツの大会で表彰されるほど目立った活躍をされていたそうです。

長い時間スプンさんのご家族と話しすることができ、よりスプンさんのことを知ることができました。スプンさんのご家族の皆様、家庭訪問にご協力いただきまして。誠にありがとうございました。

チャーナカさん

会社でも、富士山メソッドプロジェクトでも、みんなを笑顔にするムードメーカーのチャーナカさん。
家庭訪問の際には、お父さま、妹さま、親戚の皆さまが迎えてくれました。

チャーナカさんのご自宅は、コロンボ中心部から車で8時間ほど移動した、ヌワラエリアという自然豊かな街にありました。
スリランカは紅茶(セイロンティー)が有名で、現在日本でお馴染みの午後の紅茶のCMでもスリランカの紅茶畑が紹介されています。チャーナカさんの家があるヌワラエリアは、紅茶の生産地としてスリランカの中でも有名な地域で、自宅の周りにも紅茶畑が沢山ありました。

お父さまは、コロンボ中心部で大工の仕事をされているそうです。自宅からは遠く通勤ができる距離ではないため、普段はコロンボで生活をしているそうです。今回は家庭訪問があるからと、わざわざ夜行バスに乗ってご自宅に帰ってきたそうです。

チャーナカさんには妹さんが2人居まして、お父さまがいないときはご親戚の皆さまが妹さまの面倒を見ているそうです。
チャーナカさんはとても家族想いで、毎日のようにお父さん・妹さんと連絡を取り合っているそうです。お父さまとの連絡の際は、いつもチャーナカさんから「いつも妹のことを面倒見てくれてありがとう」と感謝の言葉を言われるそうです。実際にスリランカ出張の際も、「妹へ渡してほしい」とプレゼントの服を事前にチャーナカさんが用意していて、家庭訪問の際に私から妹さんにお渡しいたしました。

チャーナカさんは日本に入国当初は心配事があったそうですが、数日後には「日本人の方達のサポートもあるので心配ありません」とお父さまに連絡があり、お父さまもチャーナカさんの日本での生活については安心していると、お話ししていただきました。

チャーナカさんのご家族の話しを聞き、とても胸が熱くなりました。チャーナカさんのご家族の皆さま、家庭訪問にご協力いただきまして。誠にありがとうございました。

4.スリランカ出張を終えて

今回のスリランカ視察を通して、私は自分の命の使い方について深く学ぶことができました。
自分の命を、家族や周りの方達のお役に立てられるよう、精一杯に生きようと思います。そのような考えに行きつくことができたのは、私よりも若い世代の方達が、自分だけに留まらず、家族のことも想い、精一杯生きようと行動しているスリランカ人の皆さんとお会いすることができたからです。

そして、そんな精一杯生きようと行動している方達と、富士山メソッドプロジェクトを通して関わることができることが、大変幸せなことであると実感することができました。

この31歳というタイミングでスリランカ出張に行かせていただき、自分自身が学び感じたことは、偶然でものではないと感じています。
スリランカの方達は、自ら思ったことを行動にしていました。私もスリランカの方達の姿勢から、言葉でなく必ず行動で示していきます。

最後までレポートをお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

メニュー