受験者数が増えている「日本語能力試験(JLPT)」とは?

富士山メソッドプロジェクトでは、日本語能力試験(以下JLPT)のサポートを行っています。
在留外国人の増加が進んでいる現代において、JLPTはこれまで以上に重要になっています。

今回はそのJLPTの概要について、説明させていただきます。

日本語能力試験(JLPT)とは?

JLPTとは「Japanese Language Proficiency Test」の略で、日本語が母国語でない外国人向けの日本語能力を測定する検定試験です。
日本47都道府県だけでなく、54 の国・地域、168 都市で、年2回(7月と12月)実施される世界規模の試験です。

JLPTの受験者数

1984年から始まった本試験は、2023年現在で約40年の歴史があり、受験者は年々増え続けています。

2023年(令和5年)7月に実施された2023年第1回JLPTでは、日本を含む世界各地から60万2,140人もの外国人が受験しました。

出典:日本語能力試験公式ウェブサイト 「2023年 第1回日本語能力試験 結果の概要」
https://www.jlpt.jp/statistics/pdf/2023_1_9.pdf

上のグラフを見てわかるように、新型コロナウイルス感染症の影響で受験者数は一度落ち込みました。
しかし現在は受験者数が回復傾向にあり、2023年は先日実施された12月試験を合わせると、2019年以来の受験者数100万人を超える可能性が高いと予想されています。

また、地域別に受験者数を見てみると、日本を除いた受験者数第1位は「東アジア(52%)」、2位は「東南アジア(38%)」、3位は「南アジア(8%)」となっています。
やはり日本から近いアジア地域からの受験者が非常に多い結果となっています。
詳細はこちらでご確認いただけます。https://www.jlpt.jp/statistics/pdf/2023_1_3.pdf

外国人がJLPTを受験する理由

外国人の方々が受験する理由は様々です。
JLPTは年齢関係なく受験することができるため、小学生から社会人まで、それぞれ目的を持って受験します。
国際交流基金が2018年12月試験の受験者を対象に実施した調査結果は、以下の通りです。

出典:日本語能力試験公式ウェブサイト「データで見る日本語能力試験」
https://www.jlpt.jp/statistics/index.html

現在私たちが主にサポートしているのは技能実習生ですが、同じ技能実習生でも、理由は様々だと感じています。
しかし共通点があるとすれば、「日本人とコミュニケーションが取れるようになりたい」等の日本での日常のためではなく、やはり自身のキャリアアップを目的として受験していることだと思います。

受験者数の多いアジア諸国では特に、日本で働き続けたいという外国人の方は多くいらっしゃいます。
日本で働き続ける、さらなるキャリアアップを図るために受験している方が最近は多いのではないかと私は感じています。

JLPTの5つのレベル

JLPTには、N5〜N1までの5つのレベルがあります。
一番簡単なレベルが「N5」一番難しいレベルが「N1」となっており、それぞれの認定の目安と、取得することのメリット・必要性は下の表のようになります。

参考:日本語能力試験公式ウェブサイト「N1~N5:認定の目安」
N1~N5:認定の目安 | 日本語能力試験 JLPT

JLPTに出題される問題を大きく分けると、言語知識」「読解」「聴解の3種類に分けられます。
「言語知識」を細かく分類すると、漢字の読み書きなどの「文字」、言葉の意味や使い方、言い換えなどを問う「語彙」、言葉を組み立てる力を問う「文法」の3つに分けられます。
さらに上記3つの力を使って文章等を読み解く「読解」も、厳密にいうと「言語知識」に分類されます。

今回は、N3を持っていれば、あまり困ることなく日本語でコミュニケーションが取れるよねと一般的に言われることが多く、私たちがサポートしている多くの技能実習生も取得を目指している「N3」の問題を、ここで3問だけご紹介いたします。
皆さんもぜひ、チャレンジしてみてください。

<問1>

 A. 4 どんどん

<問2>

 A. 2 に対して

<問3>

A. 4 「ABC株式会社」は、「さくら株式会社」にバッグのカタログと価格表を頼んだ。

いかがだったでしょうか?

私は外国人の皆さんと問題についてよく話をしますが、「日本人だから分からなくはないけど、意外と難しいな…」と率直に感じます。N3でこのレベルですので、もちろんN2、N1はさらに難しくなります。

以下の日本語能力試験ウェブサイトで、N5~N1の問題例に挑戦することができます。
よろしければ、ぜひチャレンジしてみてください

※問題の出典:日本語能力試験公式ウェブサイト「問題例に挑戦しよう」
 👉https://www.jlpt.jp/samples/forlearners.html

JLPTの合格率

2023年7月に実施されたJLPTの各レベルの合格率は、以下の表の通りです。
「認定率」が合格率を指す項目です。

出典:日本語能力試験公式ウェブサイト「応募者数・受験者数・認定者及び認定率」
https://www.jlpt.jp/statistics/pdf/2023_1_2.pdf

N5の合格率は50~60%程度ですが、N4以上のレベルでは合格率が50%を下回っています。
また、やはりレベルが高くなるにつれて合格率は下がっており、N1レベルでは合格率が30%前後となっています。

この結果をみても、JLPT受験は外国人の皆さんにとって大きな挑戦であることがわかります。

おわりに

2023年12月現在、技能実習制度の改革に関する様々な発表や議論がされていますが、 その中でも外国人の転職や在留資格「特定技能」への移行を希望した場合などの各段階で、JLPTの取得をより一層求めるようになることが、改革の大きなポイントとなっています。

私たちがサポートしている外国人の皆さんも、JLPTへの関心がとても高いです。
多くの方が現時点でN4、N3を取得していますが、ほとんど全員がより高いレベルの取得を希望し、日々勉強に励んでいます。

富士山メソッドプロジェクトでは、月に2回、日本語教室を実施しています。
JLPTは皆さんにとって年に2回しかない重要な試験であることを私自身も改めて認識し、日本語教室などで精一杯サポートをしてまいります。

*写真掲載許諾取得済み

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

大竹 岳

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