③「外来語(カタカナの言葉)」は、やさしい日本語に言い換える ~今日からできる!日本語を使って外国人とコミュニケーションをとるコツ~

新米日本語教師の大竹岳です!

富士山メソッドプロジェクトの担当者として、外国人の方々の生活サポートや日本語指導、外国人が働く企業のサポートをさせていただいております。

今回のブログでも、急増中の在留外国人の方々とのコミュニケーションを円滑にする言語・手法として注目される「やさしい日本語」をもとにしながら、今日からできる簡単なコツ第3弾をご紹介させていただきます。

コツ③「外来語(カタカナの言葉)」は、やさしい日本語に言い換える

そもそも「外来語」とは?

「外来語」とは漢字の通り、「外国から日本に来た言葉」のことです。
外国語の音とアクセントをほぼそのままの形で日本に取り入れた言葉を指します。

漢字文化圏の国から入ってきた言葉(「餃子(ギョーザ)」など)も外来語に含まれますが、多くの場合は漢字文化圏以外の国から入ってきた「カタカナの言葉」を外来語といいます。

英語から取り入れられた外来語が多いですが、中世末期にザビエルら宣教師によって入ってきたポルトガル語や、
江戸時代に鎖国の中で交易を始めたオランダから入った言語、日本が西洋医学を学ぶ際に参考にしたドイツから入った言語なども外来語として使用されており、外来語は日本の歴史と関連が深いです。

<ポルトガルから取り入れられた外来語>
・タバコ
・パン  など

<オランダから取り入れられた外来語>
・アルコール
・カバン   など

<ドイツから取り入れられた外来語>
・アレルギー
・ホルモン  など

日本にいる外国人の76%は「やさしい日本語」での情報発信を希望している

「外国人には英語を使えば伝わるだろう」「カタカナの言葉だったら伝わりやすいだろう」
私は外国人の方々と接するまで、このように考えていました。

しかし前述の通り、カタカナ表記の言葉がすべて英語というわけではありませんし、原型とは異なった形で日本中に普及し、英語が語源にも関わらず日本人にしか伝わらない外来語もあります。

また、外国人全員が英語を理解できるわけでもありません。日本に在留する外国人は日本語学習者であることが多い上に、英語でコミュニケーションが取ることができない方も多くいます。

事実、地域の国際交流の促進を担っている東京都国際交流委員会の調査では、「外国人が希望する情報発信言語」として「やさしい日本語」を選んだ人が76%と最も多く、「英語」が68%、「通常の日本語」が22%、「機械翻訳された母国語」が12%、「非ネイティブが訳した母国語」が10%という結果となっています。
多くの外国人が英語よりも「やさしい日本語」を求めていることが分かります。

出典:出入国在留管理庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/92484001_01.pdf

「やさしい日本語」について詳しく知りたい方は、ぜひこちらのブログもご覧ください
 『やさしい日本語とは?』👉 https://fujisan-method.jp/info/851/

外来語をどうやって外国人に伝えればいい?

外来語を外国人の方に伝えるためには、以下3つのステップで実施していくことが良いと私は考えています。

ステップ①】 該当の外来語(カタカナの言葉)が理解できているかを尋ねる

やさしい日本語の目的は「伝える」ことです。したがって、必ずやさしい日本語に言い換えなければならないわけではありません。
「バス」「ガス」「テレビ」などのように、外来語以外に適切な日本語がないものもあります。

外来語のままでも相手に伝わっていることが確認できたら、そのままコミュニケーションを取りましょう。


ステップ②】 外来語(カタカナの言葉)の「日本語言い換え語」を探す

外来語が伝わらない状況になったら、まずは言い換え語として思い当たる日本語を探します。

例えば、「キャンセル」→「中止するのように、日本語で説明できる言葉を探し、伝えましょう。

外来語は数多くありますので、全てを日本語に言い換えることは難しいですが、独立行政法人国立国語研究所が作成した『「外来語」言い換え提案』などを参考にすると、外来語の言い換えがしやすくなります。


ステップ③】 日本語言い換え語を「やさしい日本語」に変換する

外来語を日本語に言い換えても、外国人の方に意味が伝わっていなかったら、「やさしい日本語」に変換しましょう。

例えば「キャンセル」→「中止する」→「やめるのように言い換えて、相手の理解を確認します。

「中止」も「やめる」も、語彙のレベルとしては同等(N4程度)です。
しかし、漢字や熟語が苦手な外国人の方も多くいますので、「やめる」の方がやさしい日本語といえます。

やさしい日本語なのか、難しい日本語なのかを判断するには、コツ①のブログで紹介させていただいたリーディングチュウ太を活用すると良いです。
N5〜N4レベルの言葉は、やさしい日本語と言えます。

外来語→やさしい日本語への変換練習をしましょう!

最後に、外来語をやさしい日本語に変換する練習をしてみましょう。
今回は外来語を5つ用意しました。ぜひチャレンジしてみてください!

※上記は言い換え例です。答えではありません。
  やさしい日本語に明確な答えはないため、参考としてご活用ください。

おわりに

今回のコツ③の紹介を通じて、「外来語(カタカナの言葉)=外国人の方々に伝わりやすい」という認識を持つことは適切でないということを、私自身も整理することができました。

もちろん、国籍や生育環境等によって、希望する情報発信の言語や方法は異なると思います。外来語や翻訳ソフトなども場合よっては大変役に立つものですし、私も使用することがあります。
しかし、76%の在留外国人の方が「やさしい日本語」での情報発信を希望していることは忘れてはいけないと思います。

そして、その希望に応えるために、やさしい日本語を使おうとする「日本人のやさしさ」こそ、今後とても重要になると思います。

明確な答えはないと言われているやさしい日本語において大切なのは、時間がかかっても伝えようとするやさしさ、時間がかかっても外国人の方が伝えようとしていることを理解しようとするやさしさだと私は考えています。
そのやさしさを忘れずに、外来語の言い換えも皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思っています。

日常や仕事において、私達の思いや考えを日本語で正しく伝えられるようになるために、次回以降も「やさしい日本語」を使用するコツをお伝えさせていただきます。よろしければ、次回もぜひご覧ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


大竹 岳

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