私たちの取り組み
日本語を使って外国人とコミュニケーションをとるコツ ~「やさしい日本語」とは~
新米日本語教師の大竹岳です!
富士山メソッドプロジェクトの担当者として、日々外国人の方々の生活サポートや日本語指導、外国人が働く企業のサポートをさせていただいております。
私自身のこれまで得た知識や、日々外国人の方々とのコミュニケーションの経験から、「日本語を使って外国人とコミュニケーションをとるコツ」について、誠に僭越ながら情報提供をさせていただこうと思います。
今回は以下2点について、説明させていただきます。
- 「日本語を使って外国人とコミュニケーションをとる力」が必須の時代となっている理由
- 現在注目されている「やさしい日本語」について
「日本語を使って外国人とコミュニケーションをとる力」が必須の時代に
日本の少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少やグローバル化、新型コロナウイルス感染対策による厳しい入国制限の緩和により、近年日本に住む外国人が急増しています。
出入国在留管理庁の発表によると、令和5年6月末の在留外国人数は322万3,858人で、過去最多を更新しました。
前年末(307万5,213人)と比べると4. 8%増加しており、人数にすると、在留外国人数は半年間で14万8,645人も増えたということになります。
静岡県にも在留外国人は増加している
静岡県にも令和5年6月末時点で11万354人の外国人が在留しており、静岡県だけでみても、半年間で約4,000人の在留外国人が新たに在留している状況です。
今後ますます日本、静岡県に住む外国人は増えていくことが予想されています。
外国人の皆さんが求めているのは「英語」よりも「日本語」
このような変化によって懸念されることは、やはり「コミュニケーション」です。
仕事や生活においては、なにより「コミュニケーション」が重要となります。
では、外国人の方々は日本でのコミュニケーションをどのように考えているのでしょうか?
生活のための日本語に関する調査によると、外国人が「日本での日常生活に困らない言語」として一番多い回答が「日本語」で、「英語」よりも多い結果となりました。
また、法務省による調査でも、「日本語で会話ができる」と答えた外国人は8割を超えました。
このことから、日本に住む外国人の多くは、日本語をある程度習得した状態で、日本で生活していることが分かります。
さらに、東京都国際交流委員会の調査では、「外国人が希望する情報発信言語」として、「やさしい日本語」を選んだ人が76%と最も多く、「英語」が68%、「通常の日本語」が22%、「機械翻訳された母国語」が12%、「非ネイティブが訳した母国語」が10%という結果となりました。
私たち日本人は学校教育で「英語」を学んでいるため、外国人とのコミュニケーション=英語というイメージがあります。
しかし、日本国内に住む外国人の方々が求めているコミュニケーション方法は、英語ではなく「やさしい日本語」であるということが、上記の結果からわかります。
やさしい日本語とは?
では、「やさしい日本語」とは何でしょうか。
やさしい日本語とは、外国人、高齢者、障害のある方などに対して、難しい日本語を簡単な言葉に言い換えるなど、相手に配慮したわかりやすい日本語のことをいいます。
市役所や企業、教育現場など、多くの場所と場面でやさしい日本語は活用されています。
やさしい日本語の歴史
やさしい日本語には歴史があります。
1995年の阪神・淡路大震災が発生した際、日本人の死傷者は約1%でしたが、外国人の死傷者は2%以上でした。
この原因の1つが、外国人の方々に指示が通らない、状況を伝えられないことでした。 このことを機に、誰に対しても迅速に災害などの情報伝達を行う手段としてやさしい日本語の取組が始まり、現在は重要なコミュニケーション言語・手法として注目されています。
日本語を「やさしい日本語」に変換するための12のコツ
私達が普段何気なく使用している日本語をやさしい日本語に変換し、文書や会話に活かすためには、以下の「12のコツ」をおさえる必要があります。
- 難しいことばを避け、簡単な語彙を使う
- 1文を短くして、文の構造を簡単にする
- 外来語を使用するときは気をつける
- 擬態語は、日本語話者以外には伝わりにくいので使用を避ける
- 動詞を名詞化したものはわかりにくいので、できるだけ動詞文にする
- あいまいな表現は避ける
- 二重否定の表現は避ける
- 文末表現はなるべく統一する
- 知っておくべきことばはそのまま使い、 そのことばの後に( )を使い、言い換えを付記する。
- ローマ字は使わない
- 使用する漢字や、漢字の使用量に注意する。漢字には ふりがなをふる
- 時間や年月日の表記はわかりやすくする
12もコツがあると、こんなに多く意識しなければならないのか…と思ってしまいがちですが、そんなことはありません。
どれか1つのコツを意識して実践するだけでも、外国人の立場からすると大変わかりやすく、ありがたい表現となり、「やさしい日本語」となります。
やさしい日本語は、すなわち「伝わる日本語」といえると私は考えています。
日常や仕事において、私達の思いや考えを日本語で正しく伝えられるようになるために、次回からは12のコツに沿って説明させていただきます。
よろしければ次回以降もぜひお読みください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
大竹 岳