⑪「日付」を外国人に伝える時は「西暦」を使用する 〜今日からできる!日本語を使って外国人とコミュニケーションをとるコツ〜

新米日本語教師の大竹です!

富士山メソッドプロジェクトの担当者として、外国人の方々の生活サポートや日本語指導、外国人が働く企業のサポートをさせていただいております。

今回も急増中の在留外国人の方々とのコミュニケーションを円滑にする言語・手法として注目される「やさしい日本語」をもとにしながら、今日からできる簡単なコツ第11弾をご紹介させていただきます。

国によって「日付」の表現方法は異なる

前回は日本語のコツ⑩として、「外国人への時間の伝え方」をテーマにコツをご紹介させていただきました。

今回のテーマである「日付」も、時間と同様、仕事とプライベートの両面において非常に重要なものです。
日付に関するコミュニケーションエラーが起きないよう、細かな点で配慮すべきことがあります。

コツをお伝えする前に、まずは多くの日本人が無意識で併用している「西暦」と「和暦」について簡単に説明させていただきます。

世界で広く使われている「西暦」

世界には数多くの日付の表現方法があると言われていますが、世界で最も多く用いられている年の数え方が「西暦」です。

イエス・キリストが誕生したと言われている年を「元年(1年)」として、そこから1年ごとに数字を重ねていく年の数え方を「西暦」といいます。

皆さんご存知の通り、現在は西暦で数えると「2025年」です。

西暦は全世界へのキリスト教の拡大に伴い普及していきました。
国際的な標準となっているため、グローバルに使用できるという点から、ビジネスで使用する資料や契約書、公文書などに使われることが多いです。

日本独自の「和暦」は、日本らしさの象徴

西暦に対して、日本には「和暦」という日本独自の年の数え方が存在します。
皆さんご存知の通り「明治」「大正」「昭和」「平成」といった独自の名称(年号)に数字を加えて年を表す方法です。

現在は和暦で数えると「令和7年」です。

和暦の始まりは飛鳥時代(西暦645年頃)にさかのぼるといわれています。
「明治」からは「天皇が即位する時に新しい年号に変える」というルールになりましたが、それよりも前は、天災などが続いて凶作になる等の良くない出来事が起きた時や、逆に良いことが起きた時に年号が変わっていました。

「年号」は中国や日本の古典をもとに名付けられ、年号にはその時代の日本の状況や願いなどが込められています。

  • 「昭和」国民の平和と、世界各国の共存繁栄が叶いますように
  • 「平成」日本の内外にも天地にも、平和が達成されますように
  • 「令和」人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育ちますように

各年号に込められた願いを改めて見てみると、世界に誇れる素晴らしい言葉であることがわかります。
これらの素晴らしい言葉に数字を加えた年の数え方が「和暦」なのです。

「西暦」と「和暦」の併用が、外国人を困らせている…

前述の通り、「和暦」は日本独自の文化です。

ぜひ外国人の方々にも和暦の素晴らしさを伝えたいところですが、「外国人に日付を伝える」という観点から見ると、非常にわかりづらく、困らせてしまう表現なのです。

そして、前回のコツ⑩でご紹介した「12時間表記」と「24時間表記」と同じように、日本人は無意識で「西暦」と「和暦」を併用しています。
そこも外国人にとっては困るポイントとなります。

具体的には、以下のような場面で外国人の方は困ることが多いです。

【書類に日付を記入するとき】
「ここに今日の日付を書いてください。」
 → 令和  年  月  日 …(令和ってなんだろう…)

【お互いの年齢を教え合うとき】
「私は平成5年生まれだけど、〇〇さんは何年生まれ?」
 →…(平成ってなんだろう…)

私自身も意識をしないと、外国人の方に上記のような記入の依頼や会話をしてしまうことがあります。

日本語で外国人に「日付」を伝える2つのポイント

では、外国人に日付を伝える際は何を意識すべきでしょうか。
ポイントは2つあります。

ポイント① 「西暦」を使用する

まずは多くの外国人が母国でも使用している「西暦」で日付を伝えたり、記入のお願いをすることを意識しましょう。

和暦で記入を求める書類があった時は、和暦を西暦に変換するサポートを必ずしてください。

(例)令和7年5月18日 →  2025年5月18日

ポイント② 日付の表記に「/」を使わない

こちらは会話ではなく、文章で外国人の方に日付を伝える際のポイントです。

日本では時々「5/18」のように「/」を使って日付を表すことがありますが、この「/」が日付を表すということが分からない外国人は多くいらっしゃいます。

したがって、「/」は使わず、「◯年◯月◯日」と表記しましょう。

(例)2025/05/12 → 2025年5月12日

日本語で外国人に「日付」を伝える練習をしましょう!

最後に、外国人に日本語で「日付」を伝える練習をしてみましょう。
ぜひチャレンジしてみてください!

※上記は言い換え例です。答えではありません。
 やさしい日本語に明確な答えはないため、参考としてご活用ください。

おわりに

今回のコツも簡単に実践できるものですが、外国人の方々にとっては非常にありがたい配慮となるものです。

富士山メソッドプロジェクトではサポートの一環として、市役所や銀行などでの手続きにスタッフが同行します。
その際に外国人の方々に日本語で記入していただく書類が多いのですが、必ず「日付」の記入で困って手が止まります。

それは各書類で「和暦」の記入が求められることや、書類によっては「西暦」と「和暦」のどちらで書くべきか明記されていないことが理由です。
細かい部分ですが、上記状況を私達が理解し、工夫やサポートをすることはとても大切だと思います。

また、今回もやさしい日本語のコツを紹介することを通じて、日本の素晴らしさに少し触れることができたと感じています。
「和暦(年号)」に込められた意味や願いなどを普段考えることはありませんでしたので、とても学びになりました。
外国人の方々と一緒に、年号に使われている漢字や言葉をもとに日本語の学習をする時間があっても良いなと思いました。

引き続き目の前の外国人の方に合わせて、「伝えること」と「学んでいただくこと」の両方を追い求めていきたいと思います。

次回以降も外国人の方とコミュニケーションをとる際に少しでもお役に立てるよう、「やさしい日本語」を使用するコツをお伝えさせていただきます。よろしければ、次回もぜひご覧ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


大竹 岳

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