⑩「時間」を外国人に伝える時は「12時間表記」を使う 〜今日からできる!日本語を使って外国人とコミュニケーションをとるコツ〜

新米日本語教師の大竹です!

富士山メソッドプロジェクトの担当者として、外国人の方々の生活サポートや日本語指導、外国人が働く企業のサポートをさせていただいております。

今回も急増中の在留外国人の方々とのコミュニケーションを円滑にする言語・手法として注目される「やさしい日本語」をもとにしながら、今日からできる簡単なコツ第10弾をご紹介させていただきます。

「時間」の表記方法は、国によって異なる

時間に関する考え方が国や地域によって異なることはよく耳にするかと思いますが、今回は時間に関する考え方についてではなく、「外国人への時間の伝え方」をテーマにコツをご紹介します。

皆さんご存知の通り、時間は仕事とプライベートの両面において非常に重要なものです。
時間に関するコミュニケーションエラーが起きてしまうと、その時予定していた行事に影響を及ぼすだけでなく、信頼関係にも影響を及ぼしますので、時間を正しく伝えることはとても大切です。

まずは、現代の世界各国の時間表記は主に以下2種類が使用されていることを整理したいと思います。

<2種類の時間表記>

「12時間表記」
 →時刻の前に午前(AM)午後(PM)を表記する示し方【午前 or 午後 1:00〜12:00

「24時間表記」
 →時刻を24時間で表記する示し方【0:00〜24:00

2種類とも馴染みのある表記方法だと思いますが、この2種類を用いた時間の表現方法は、国によって異なります。

時間に繊細な日本では、「24時間表記」を多用する

日本人は「12時間表記」と「24時間表記」のどちらかを限定的に使用しているわけではなく、時と場合に応じて、両方を無意識で使い分けている方が多いです。

学校教育では「12時間表記」を小学校低学年で学びます。
また、日常を思い返してみると、プライベートでの友人等との会話では、「12時間表記」でコミュニケーションを取るという方が多いのではないかと思います。

しかし日々の仕事では「24時間表記」を使用している方が日本人には多いのではないでしょうか。
私はお客様と会うお約束をする時や、社内でスケジュールを共有する時などは、24時間表記を使用しています。
また、鉄道・航空などの交通機関、医療現場などでは「24時間表記」を主に使用しています。

そして日本で販売されているスケジュール帳も、多くが24時間表記になっていると思います。
時間を守ることを重んじて、なおかつ時間や約束を守ることが信頼関係や評価に直結する日本においては、時間の見間違い・聞き間違いを防ぐために「24時間表記」を多用しているのです。

外国では「12時間表記」で表すことが基本

日本に対して世界各国では、「12時間表記」が一般的です。

海外でも交通機関等で24時間表記を使用している国もありますが、日本のように24時間制を多用している国はほとんどありません。

また、外国人の方々が日本語を学習する際に教わっているのは「12時間表記」であることがほとんどです。
日本の小学生が学校教育で教わるものと同じように、「午前」「午後」を用いながら時間のコミュニケーションをとることを学習している在留外国人が大半です。

したがって外国人の方々は「24時間表記」に馴染みがありませんし、なおかつ24時間表記を多用しつつも12時間表記も時として使用する日本の時間の示し方に、多くの外国人が混乱してしまっています。

細かな点ですが、私達日本人が上記の内容を理解し、配慮することが重要となります。

日本語で外国人に「時間」を伝える2つのポイント

ポイント① 「12時間表記」で伝える

まずは前述の通り、外国人に馴染みがあり、なおかつ学習している方が多い「12時間表記」で時間を伝えましょう。文章でも会話でも12時間表記を使用すると良いです。

(例)15時30分 →  午後ごご30ぷん

ポイント② 「◯時◯分〜×時×分」ではなく、「◯時◯分から×時×分まで」と表記する

こちらは会話ではなく、文章で外国人の方に時間を伝える際にポイントとなる内容です。
「◯時◯分〜×時×分」の「〜」が何を示すのかわからず、迷ってしまう方がいらっしゃいます。
「〜」を使わず、「◯時◯分から×時×分まで」と表記しましょう。

(例)お店は 午前8時30分 午後7時30分まで 開いています。

  → おみせは 午前ごぜん30ぷん から 午後ごご30ぷんまで あいています。

外国人に日本語で「時間」を伝える練習をしましょう!

最後に、外国人に日本語で「時間」を伝える練習をしてみましょう。
ぜひチャレンジしてみてください!

※上記は言い換え例です。答えではありません。
 やさしい日本語に明確な答えはないため、参考としてご活用ください。

おわりに

今回のコツはとても簡単に実践できるものですが、コミュニケーションにおいては重要度の高い内容です。
しかしお恥ずかしいことに、私自身も実践できずに「24時間表記」や「○時〜○時」を使って外国人の皆さんに時間を伝えてしまうことがあります。

やさしい日本語に明確な答えはありませんので、伝えることができていれば問題はありませんが、本当は理解できていなくても、こちらに気を遣って「はい」と答えてしまう外国人の方もいらっしゃいます。
このブログを機に、もう一度時間に関するコミュニケーションを私自身改めようと思います。

その反面、毎回述べていますが、外国人の方々への配慮をしつつも、日本らしさ、日本語の素晴らしさを伝えていくことも大切だと思います。
今回の「時間」に関しても、外国人の方々が「24時間表記」に慣れ、そのメリットなどを感じていくサポートもできれば良いと考えています。
目の前の外国人の方に合わせて、「伝えること」と「学んでいただくこと」の両方を追い求めていきたいと思います。

次回以降も外国人の方とコミュニケーションをとる際に少しでもお役に立てるよう、「やさしい日本語」を使用するコツをお伝えさせていただきます。よろしければ、次回もぜひご覧ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


大竹 岳

(ぷん)

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