⑤「たぶん」「〜くらい」などのあいまいな言葉は使わず、やさしい日本語で表現する 〜今日からできる!日本語を使って外国人とコミュニケーションをとるコツ〜

新米日本語教師の大竹です!

富士山メソッドプロジェクトの担当者として、外国人の方々の生活サポートや日本語指導、外国人が働く企業のサポートをさせていただいております。

今回のブログでも、急増中の在留外国人の方々とのコミュニケーションを円滑にする言語・手法として注目される「やさしい日本語」をもとにしながら、今日からできる簡単なコツ第5弾をご紹介させていただきます。
(「やさしい日本語」の詳細は、こちらをご覧ください👉 https://fujisan-method.jp/info/851/

コツ⑤ 「たぶん」「〜くらい」などのあいまいな言葉は使わず、やさしい日本語で表現する

日本人がよく使用する「あいまいな言葉」とは?

私達日本人が無意識で使っている日本語には、「あいまいな言葉」が多く含まれています。

言語に関しては様々な意見がありますが、「日本語は世界一あいまいな言語」と言われるほど、不明確であいまいな言葉が数多くあります。

以下に日本人がよく使用するあいまいな言葉をまとめました。

< よく使用する「あいまいな言葉」 >
・たぶん
・おそらく
・〜くらい
・とりあえず
・一応 
・そのうち  
など

また、上記の言葉だけでなく、私達が何気なくしている「返事」にも、あいまいな表現が多くあります。

< 何気なく使用している「あいまいな返事」 >
「レジ袋はどうなさいますか?」 → 「大丈夫です。」
「お菓子食べますか?」 → 「いいです。」
「今晩一緒にご飯食べませんか?」 → 「今晩はちょっと…」   など

前回ご紹介させていただいた「擬音語・擬態語」と同じく、あいまいな言葉も私達は無意識に使用しており、日本人同士では違和感なく理解できる言葉だと思います。

しかしこれらの言葉は、外国人の方にとっては非常に理解が難しいのです。

なぜ外国人の方には「あいまいな言葉」が伝わりづらい?

外国人の方々があいまいな言葉を実際にどう感じているのかを、私達がサポートしている富士山メソッドプロジェクトの外国人の皆さんにインタビューしてみました。

※先日、みんなで箱根遠足に行ってきました!

Q.あいまいな日本語で困った経験はありますか? その時はどう感じましたか?

A.「〜くらいでお願いねという指示を仕事中にされたときに不安になりました。明確な指示をもらえると安心します。

A.最近は少し分かってきましたが、何かをプレゼントしようとした時に、いいです大丈夫です!ありがとう!と返事をされると、受け取ってくれるのか、いらないのかがわからなかったです。

A.「そのうち教えるねと言われたので、その日に教えてもらうためにずっと待っていたら、結局教えてもらえませんでした。「そのうち」がよくわからず、嘘をつかれたのかなと思ってしまいました。

A.あいまいにしなければならない時あると思うけど、あいまいなままで終わってほしくないなと感じることはあります。はっきり答えてほしいです。    など

あいまいな日本語には、日本人の「思いやりの心」が詰まっている

前回の擬態語・擬音語と同様に、日本人があいまいな表現を多用することには理由があります。

様々な理由や歴史があるそうですが、「思いやりの心をあいまいな言葉で表現している」ことが一番の理由である言われています。
あいまいにせずに断定する言葉は、時に相手の意見などを否定していると捉えられてしまうため、日本人は無意識で断定を避けているのです。

かつて聖徳太子が制定した十七条の憲法の第1条には「和を以て貴しとなす」という有名な言葉が記載されています。
この言葉は、平和・調和を大切にすること、争わないことなどを意味する言葉として、古くから教育現場でも大切にされてきました。
現在でも私達日本人の心に備わっている考え方であり、この心が相手を傷つけないために表現をあいまいにするということにつながっていると言われています。

あいまい日本語は「日本らしさ」を表す大切な文化でもあるのです。

あいまいな言葉をやさしい日本語で伝える方法

では、あいまいな言葉をやさしい日本語伝えるにはどうしたら良いでしょうか。
私は重要なポイントが3つあると考えています。

① まずは「はい」「いいえ」などの明確な言葉を使う

シンプルですが、相手が迷わないよう、明確な言葉を使うようにしましょう。

・はい/いいえ
・ください(いただきます)
・いりません
・いいです
・ダメです
・〇〇をしてください
  など

少し抵抗があるかもしれませんが、明確に伝えることが相手にとっての思いやりだと考えて、上記のような言葉を使うようにすると良いです。

② 明確な言葉の後に、思いを伝える言葉を使う

断定するような明確な言葉を使うことは、「相手を傷つけてしまうのではないか」「申し訳ない」という気持ちがどうしても芽生えてしまいます。特に何かを断る時は心苦しいです。

前述した通り、その思いやりは日本らしさであり、大切にすべきものです。
したがってその思いは、明確な言葉を使った後に以下のように付け加えるようにしましょう

・「お菓子食べますか?」 → 「ください。ありがとうございます。」
・「お菓子食べますか?」 → 「いりません。(お腹がいっぱいです。)ごめんなさい。」  
※「〇〇さんはやさしいですね。私は嬉しいです。」などをさらに付け加えると相手は嬉しいようです。

このように表現すれば、私達が大切にしている思いも相手に伝えることができると思います。

③ あいまいな表現をしたい時は、「〜かもしれません」を使う

上記①②を意識してコミュニケーションをとる中でも、あいまいに表現したい場面はあると思います。
その時は「〜かもしれません」を使うようにしましょう。

もちろん外国人の方によっては意味を知らず、伝わらないこともあると思いますが、「〜かもしれません」は外国人の方が日本語を学ぶ時に、比較的に早い段階で学習することが多い表現です。
「たぶん」「おそらく」「〜だと思います」ではなく「〜かもしれません」を使った方が良いです。

あいまいな言葉 → やさしい日本語で表現する練習をしましょう!

最後に、あいまいな言葉をやさしい日本語で表現する練習をしてみましょう。

おわりに

あいまいな言葉は、前回ご紹介した擬態語・擬音語と同じく、日本の良いところを表している反面、日本語の課題ともいえる部分を表しているとも言えます。

良い面と課題が両方含まれているという状況は難しいですが、私は両方を大切にすべきだと感じています。
すなわち、伝えたいことははっきりと伝えつつ、その後の言葉や行動で相手を大切にすることも忘れない。それができれば、外国人の方とコミュニケーションが円滑に取れるだけでなく、日本の素晴らしさも伝えることができると思います。
そして、このことは外国人の方とのコミュニケーションのみならず、誰と接する時にも大切にすべきことなのではないかとも思いました。

私は毎回ブログを投稿するたびに、日本語の奥深さや、言葉と文化が強く結びついていることを感じます。
やさしい日本語に出会えたからこそ、これらを感じることができていると思います。
今後も日々の実践とブログ投稿を通じて、勉強を積み重ねていこうと思います。

日常や仕事において私達の思いや考えを日本語で正しく伝えられるようになるために、次回以降も「やさしい日本語」を使用するコツをお伝えさせていただきます。

よろしければ、次回もぜひご覧ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


大竹 岳

メニュー