育成就労制度の運用要領が公表!受入企業が知っておくべき3つのポイントを解説します

令和8年2月に、出入国在留管理庁より「育成就労制度 運用要領」が公表されました育成就労制度は、特定技能制度との連続性を持たせつつ、人材育成と人材確保を両立させることを目的とした制度です。
本ブログでは、外国人材の受入れをご検討されている企業様の目線で、育成就労制度において事前に押さえておきたい3つのポイントを整理してお伝えします。

1.育成就労制度とは?

育成就労制度は、日本の人手不足分野において、外国人が就労を通じて段階的に技能を身につけ、最終的に特定技能1号水準の技能を有する人材として活躍できるよう育成するための制度です。

これまでの技能実習制度は、途上国等の外国人が日本で実践的な技能・技術・知識を習得し、帰国後にその能力を活かして母国の発展に寄与することを目的としていました。しかしながら、実態としては人手不足を補う手段として活用されるケースも多く、制度の目的と運用実態との間にギャップがあることが課題として指摘されてきました。

育成就労制度では、外国人が就労しながら業務スキルや日本語を身につけ、将来的に特定技能1号へ移行することを見据えた仕組みとして整理されています。母国への技能移転を目的としていた技能実習制度とは異なり、育成就労制度は人材育成と人材確保を目的する制度となっている点が大きな特徴です。

2.企業様が押さえるべき3つのポイント

ここでは、育成就労制度の活用をご検討いただいている企業様に向けて、今から準備を進めるうえで押さえるべき3つのポイントを整理してお伝えします。

(1)日本語能力を育成するための対応

①育成就労の終了までに一定の日本語能力水準(A2相当)が求められる

特定技能1号水準に到達するため、育成就労の終了までに、一定の技能能力に加えて、A2相当(JLPT N4、JFT-Basic等)の日本語能力が求められます。

出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について(育成就労制度 運用要領)」をもとに作成

上記図の「A1相当」「A2相当」は、日本語能力の目安を示すもので、試験内容例は以下のとおりです。

A1相当JLPT N5
A2相当JLPT N4、JFT-Basic

※分野によっては、A2相当より高い水準が求められる場合があります(分野別運用方針によります)。

②入国前と入国後に必要な講習時間

入国前講習・入国後講習の時間は、認定申請時点でA1相当の日本語能力を証明できるかどうかにより、下図のとおり取り扱いが分かれます。

留意点として、下図の【Aパターン】に該当する場合は、認定日本語教育機関(※)において「A1相当講習」を100時間以上履修する必要があります。

※認定日本語教育機関
 2024年4月施行の「日本語教育機関認定法」に基づき、教育の質、教員資格、施設設備などの基準を満たしたとして、文部科学大臣が認定した機関です。


出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について(育成就労制度 運用要領)」をもとに作成

③育成就労期間中の日本語教育時間

育成就労期間中は、育成就労の終了までに求められるA2相当(JLPT N4、JFT-Basic等)の日本語能力に到達するため、原則として、認定日本語教育機関の「就労のための課程」において「A2相当目標講習」を100時間以上履修する機会を提供することが求められます。

※すでにA2相当の日本語能力試験に合格している場合は、講習が不要となります。

③「A1相当講習」「A2目標講習」に関する費用負担について
①②の「A1相当講習」「A2相当目標講習」については、受入企業側に受講機会の提供が求められるため、企業側で費用負担が発生いたします。

(2)育成就労外国人が従事できる業務範囲

技能実習制度では、従事できる業務範囲が「職種・作業」で整理されていました。
育成就労制度では「分野・業務区分」で整理されるため、制度上、従事できる業務の範囲が変わり、業務区分の範囲内で幅広い業務に従事できるようになります。


出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について(育成就労制度 運用要領)」をもとに作成

【育成就労外国人が従事する業務内容】

① 育成就労外国人は、業務区分の範囲内で業務(関連する業務を含む)に従事します。

② 技能を修得するために必ず従事させるべき「必須業務」は、業務に従事させる時間全体の3分の1以上でなければなりません。
(※技能実習の場合、「必須業務」は業務に従事させる時間の全体の半分以上)

③ 従事させる業務に関する「安全衛生に関わる業務」に従事させる時間は、業務に従事させる時間全体の10分の1以上でなければなりません。

(3)育成就労外国人の受入れ人数枠

育成就労外国人の受入れ人数は、受入企業様の常勤職員(フルタイムで勤務する従業員等)数に応じて上限が定められています。 また、優良な育成就労実施者として認められた場合等には、下図のとおり受入れ枠が拡大されます。


出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について(育成就労制度 運用要領)」をもとに作成

3.おわりに

令和8年2月に「育成就労制度 運用要領」が公表され、育成就労制度の実務イメージがより具体的になってきました。

本ブログでは、受入企業様が事前に押さえておくべき3つのポイントを整理してお伝えしました。育成就労制度は、将来的な特定技能1号への移行を見据えた人材育成の要素が制度内容に反映されていると感じました。

また、受け入れる育成就労外国人の日本語能力によって、育成就労期間中に必要となる日本語学習の支援内容も異なります。

そのため受入企業様は、「受け入れて終わり」ではなく、採用の段階から、どのような人材を受け入れるのかを明確にし、入国後の育成や日本語学習の進め方までを含めた育成計画をあらかじめ検討しておくことが必要となります。

当組合も、育成就労制度実施に向けた準備を進めております。育成就労制度に関してございましたら、お気軽にお問い合わせください。

大道 桂三

参考資料:出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の関係省令等について(育成就労制度 運用要領)」

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